奥様が墓場まで持っていく黒い過去 Part.5
四十年以上前の話。
懺悔です。
フェイクは入れない。
関係者はほぼ鬼籍な上、当時6歳の私の記憶なんてたかが知れてる。
懺悔です。
フェイクは入れない。
関係者はほぼ鬼籍な上、当時6歳の私の記憶なんてたかが知れてる。
母が再婚した。
母の再婚相手Aと私は養子縁組をした。
Aはヤクザだったので、私はヤクザの養女になった。
母の再婚相手Aと私は養子縁組をした。
Aはヤクザだったので、私はヤクザの養女になった。
小学生になったばかりの私は、ヤクザという職業がどんな物か知らないどころか、
その存在すら理解はしていなかったけれど。
Aは私には優しかったし、
家に出入りする若い衆達には「お嬢」と呼ばれて可愛がってもらっていた。
Aは一緒にお酒を飲んだ人とすぐに兄弟になるという不思議体質で、
大量の弟がいて、私には見分けのつかない弟達も皆、優しくしてくれた。
その存在すら理解はしていなかったけれど。
Aは私には優しかったし、
家に出入りする若い衆達には「お嬢」と呼ばれて可愛がってもらっていた。
Aは一緒にお酒を飲んだ人とすぐに兄弟になるという不思議体質で、
大量の弟がいて、私には見分けのつかない弟達も皆、優しくしてくれた。
422: 名無しさん@おーぷん 19/10/02(水)14:41:08
ID:bCn
今考えれば一般的な家庭とは言い難いのだが、当時は分からなかった。
ぼんやりした子供だったのだろう。
後々母が言うには、
「娘(私)がいれば狂犬(A)がご機嫌な飼い犬になるから、
周囲は私をお姫様扱いしていた」そうだ。
かなり幸せな時期だったと思う。
母とAの間に何があったのかは分からないが、ある日、母は私を連れて家出をした。
正確な日時は覚えていないが、秋だった。
結婚期間半年。
Aは当然若い衆を使って追って来た。
母と私は、関東地方内を転々とした。
私の義務教育より、逃げる事が優先になった。
ぼんやりした子供だったのだろう。
後々母が言うには、
「娘(私)がいれば狂犬(A)がご機嫌な飼い犬になるから、
周囲は私をお姫様扱いしていた」そうだ。
かなり幸せな時期だったと思う。
母とAの間に何があったのかは分からないが、ある日、母は私を連れて家出をした。
正確な日時は覚えていないが、秋だった。
結婚期間半年。
Aは当然若い衆を使って追って来た。
母と私は、関東地方内を転々とした。
私の義務教育より、逃げる事が優先になった。
423: 名無しさん@おーぷん 19/10/02(水)14:46:04
ID:bCn
逃避行が始まってすぐの頃、
母は「きゅうちゃん」という男性を頼って匿ってもらっていた。
きゅうちゃんの本名は知らない。年齢も容姿も覚えていない。
私もきゅうちゃんと呼んでいた。
きゅうちゃんは一人暮らし。
パチ屋と蕎麦屋のお店を持っていた。
私は学校には行かず、蕎麦屋の二階で寝起きしてパチ屋のはじっこで遊んだ。
多分、一週間か二週間くらい。
友達に会えず、いつも遊んでくれるAも若い衆もAの弟達もいなくて、
淋しかったのだと思う。
(母は子育てが苦手で、
私の為の料理もお風呂や歯磨きの世話も宿題を見るのもAの担当だった。
考えるとAの女子力が高すぎる)
母は「きゅうちゃん」という男性を頼って匿ってもらっていた。
きゅうちゃんの本名は知らない。年齢も容姿も覚えていない。
私もきゅうちゃんと呼んでいた。
きゅうちゃんは一人暮らし。
パチ屋と蕎麦屋のお店を持っていた。
私は学校には行かず、蕎麦屋の二階で寝起きしてパチ屋のはじっこで遊んだ。
多分、一週間か二週間くらい。
友達に会えず、いつも遊んでくれるAも若い衆もAの弟達もいなくて、
淋しかったのだと思う。
(母は子育てが苦手で、
私の為の料理もお風呂や歯磨きの世話も宿題を見るのもAの担当だった。
考えるとAの女子力が高すぎる)
424: 名無しさん@おーぷん 19/10/02(水)14:47:52
ID:bCn
私はあっという間にきゅうちゃんになついた。
きゅうちゃんの膝で読書したり昼寝したり。正直鬱陶しかったと思う。
でも、彼はすごく温厚な人物らしく、嫌な顔一つしなかった。
きゅうちゃんとの別れは突然だった。
早朝急に起こされ、今から出掛けると母に言われた。
着替えだけして車に乗せられた。
読みかけの本も、塗り絵もまとめる時間がなかった。
きゅうちゃんともさよならだと言われて、私は嫌だと泣き喚いた。
普段文句を言わない私の反乱に困惑する母を見兼ねたのか、
きゅうちゃんが頭を撫でてくれた…ような気がする。
平日、小学校低学年の子供が学校に行かずに号泣していたら、目立つと思う。
きゅうちゃんはそれを考えたのだろう。
一生懸命宥めてくれた。
「ごめんねお嬢。きゅうちゃんはお仕事があるから、一緒に行けないんだ。
でも、また会えるから泣かないで。きゅうちゃんは、
お嬢の笑っている顔が好きだから、笑って」
もっといっぱい言ってくれたけれど、一部分しか覚えていない。
私は泣きながら必死で笑顔を作った。
きゅうちゃんは可愛い笑顔だと誉めてくれた。
こんなぐしゃぐしゃの笑顔可愛い訳ないじゃんと思ったけど、
また会えるように指切りげんまんをした。
きゅうちゃんの膝で読書したり昼寝したり。正直鬱陶しかったと思う。
でも、彼はすごく温厚な人物らしく、嫌な顔一つしなかった。
きゅうちゃんとの別れは突然だった。
早朝急に起こされ、今から出掛けると母に言われた。
着替えだけして車に乗せられた。
読みかけの本も、塗り絵もまとめる時間がなかった。
きゅうちゃんともさよならだと言われて、私は嫌だと泣き喚いた。
普段文句を言わない私の反乱に困惑する母を見兼ねたのか、
きゅうちゃんが頭を撫でてくれた…ような気がする。
平日、小学校低学年の子供が学校に行かずに号泣していたら、目立つと思う。
きゅうちゃんはそれを考えたのだろう。
一生懸命宥めてくれた。
「ごめんねお嬢。きゅうちゃんはお仕事があるから、一緒に行けないんだ。
でも、また会えるから泣かないで。きゅうちゃんは、
お嬢の笑っている顔が好きだから、笑って」
もっといっぱい言ってくれたけれど、一部分しか覚えていない。
私は泣きながら必死で笑顔を作った。
きゅうちゃんは可愛い笑顔だと誉めてくれた。
こんなぐしゃぐしゃの笑顔可愛い訳ないじゃんと思ったけど、
また会えるように指切りげんまんをした。
425: 名無しさん@おーぷん 19/10/02(水)14:49:52
ID:bCn
車に乗っていたのは、途中までだったと思う。
電車、バス、最後は徒歩で、古い感じの旅館に着いた。
母が宿泊できるか聞いているのをボーッと眺めながら、
ここで泊まれなかったらどうしようと思っていた。
いつも寝る時間はとっくに過ぎて、寒くて疲れていた。
朝からほぼ飲まず食わずだったと思う。
旅館に着くまではしっかり歩いていたのに、もう一歩も歩きたくなかった。
幸い泊まる事が出来た。
食欲がなかったので、お風呂に入っただけですぐに休んだ。
少しでも何か食べるように言われけれど、
お茶をちょっと飲んだだけで何も飲み込めなかった。
一人で髪を乾かしている時に、あまりの眠さでドライヤーを落としてしまい、
母に怒られた事を覚えている。
電車、バス、最後は徒歩で、古い感じの旅館に着いた。
母が宿泊できるか聞いているのをボーッと眺めながら、
ここで泊まれなかったらどうしようと思っていた。
いつも寝る時間はとっくに過ぎて、寒くて疲れていた。
朝からほぼ飲まず食わずだったと思う。
旅館に着くまではしっかり歩いていたのに、もう一歩も歩きたくなかった。
幸い泊まる事が出来た。
食欲がなかったので、お風呂に入っただけですぐに休んだ。
少しでも何か食べるように言われけれど、
お茶をちょっと飲んだだけで何も飲み込めなかった。
一人で髪を乾かしている時に、あまりの眠さでドライヤーを落としてしまい、
母に怒られた事を覚えている。
426: 名無しさん@おーぷん 19/10/02(水)14:50:56
ID:bCn
夜中に目を覚ましたら、隣に母がいなかった。
知らない部屋で一人で寝るのは怖かった。部屋の戸を開け、
廊下の隅に母の後ろ姿を見つけ、すごくほっとした。
母の方に歩きかけ、彼女が電話をしている事に気付き、
足音を立てないようにゆっくり静かにに歩いた。
母の口から「きゅうちゃん」というのが聞こえ、
きゅうちゃんに会えるのかと期待しながら声を聞いた。
ちゃんとした言葉は覚えていない。
後ろ向きだったし、すごく小声だった。
単語を繋ぎ合わせて、きゅうちゃんが死んだ事が分かった。死ぬまで殴られたって。
朝、また会えるって言われて、一生懸命笑って別れた。
でも会えなくなった。
あんなに大好きなきゅうちゃんを、誰がどうして殴ったんだろう。
私はそっと部屋に戻り、布団に潜り込んだ。
あまり涙は出なかった。朝はあんなに泣いたのに。
この時から今まで、きゅうちゃんの名前を口に出した事はない。
母からも聞いた事がない。
知らない部屋で一人で寝るのは怖かった。部屋の戸を開け、
廊下の隅に母の後ろ姿を見つけ、すごくほっとした。
母の方に歩きかけ、彼女が電話をしている事に気付き、
足音を立てないようにゆっくり静かにに歩いた。
母の口から「きゅうちゃん」というのが聞こえ、
きゅうちゃんに会えるのかと期待しながら声を聞いた。
ちゃんとした言葉は覚えていない。
後ろ向きだったし、すごく小声だった。
単語を繋ぎ合わせて、きゅうちゃんが死んだ事が分かった。死ぬまで殴られたって。
朝、また会えるって言われて、一生懸命笑って別れた。
でも会えなくなった。
あんなに大好きなきゅうちゃんを、誰がどうして殴ったんだろう。
私はそっと部屋に戻り、布団に潜り込んだ。
あまり涙は出なかった。朝はあんなに泣いたのに。
この時から今まで、きゅうちゃんの名前を口に出した事はない。
母からも聞いた事がない。
427: 名無しさん@おーぷん 19/10/02(水)14:52:40
ID:bCn
今、当時の母の電話を聞けば、多分どういう立場の人がやったのか分かると思う。
多分、母と私を匿った事がバレたのだろう。
彼の死が、どういう扱いになったのか、私は知らない。
撲殺事件になったのか、行方不明になったのか。
本名も年齢も容姿も住所も分からない。
ただ、きゅうちゃんと呼ばれた男性が、
おそらく母と私のせいで殴り殺されたってことだけ。
きゅうちゃん、ごめんなさい。
本当に申し訳なく思います。
きゅうちゃんにも、親兄弟がいたと思う。
どんな思いをしたことか。
ごめんなさい。恩を仇で返してしまった。
私達を助けた事、心から後悔したんじゃないかと思う。
どんなに痛かったか、怖かったか。
そんな目に合わせておいて、私は彼がどこの誰かも知らない。
本当にひどい話だと思う。
ごめんなさい。
許して貰えるなんて、思っていません。
そして、このまま誰にも言わずに地獄まで持って行くと決めています。
泣く資格もない。
ごめんなさい。
多分、母と私を匿った事がバレたのだろう。
彼の死が、どういう扱いになったのか、私は知らない。
撲殺事件になったのか、行方不明になったのか。
本名も年齢も容姿も住所も分からない。
ただ、きゅうちゃんと呼ばれた男性が、
おそらく母と私のせいで殴り殺されたってことだけ。
きゅうちゃん、ごめんなさい。
本当に申し訳なく思います。
きゅうちゃんにも、親兄弟がいたと思う。
どんな思いをしたことか。
ごめんなさい。恩を仇で返してしまった。
私達を助けた事、心から後悔したんじゃないかと思う。
どんなに痛かったか、怖かったか。
そんな目に合わせておいて、私は彼がどこの誰かも知らない。
本当にひどい話だと思う。
ごめんなさい。
許して貰えるなんて、思っていません。
そして、このまま誰にも言わずに地獄まで持って行くと決めています。
泣く資格もない。
ごめんなさい。
http://ikura.open2ch.net/test/read.cgi/ms/1528260764/








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