何を書いても構いませんので@生活板131

1038: 名無しさん@おーぷん 23/05/08(月) 23:47:10 ID:3T.im.L1
8年ほど前にどこかに妻との話を書き込んだ覚えがあるが探しても出てこない
おーぷんではなかったかもしれないが本家が規制で書き込めないのでこちらに
俺は親父が浮気した相手に母の死後に軟禁されてて、義務教育である学校へ行くこと以外を禁止されてた
そいつは精神病棟に入院した経歴もあり何度も警察のお世話になるような相手なので理屈など通じず
部活さえ出来ずに学校が終わるとすぐに帰宅して自分の部屋に籠らなければならなかった
万一遊びにでも行こうものなら騒ぎ出して学校に凸してきて警察のお世話になるから俺も従うしかなかった
親父は母が死んだ直後にこの女と入籍して即後悔していたが後悔先に立たず、俺は高校卒業と同時にこの女から逃げるために就職して家を飛び出した
だけど未成年が保護者の理解を得られず住む場所と職を見つけてるってのは想像よりも困難で、相当にブラックな職場しかなく、ワープアまっしぐらで気づけば二十歳の頃には鬱になってた
毎日自殺することばかりを考えていた俺を「死ぬことに比べれば仕事を辞めることなんか簡単じゃない」と言って助けてくれたのが妻だった
貯金もなく住む場所だって無くなるのにどうやって生きていけばいいんだと八つ当たりする俺に、それならうちに来ればいいと引き入れてくれたのが妻の家族だった
俺は仕事を辞めて、妻の家に居候することを決めた
妻の家に引っ越した後311が起きて職場が被災した
もし妻がいなければ俺は職場で死んでたかもしれない、俺は妻に2度も命を救われた
鬱で無気力なのもあったが、親父が連れてきた精神病女のせいで俺は何かを楽しむといった感情が死んでて外に遊びに行くことがなかった
そんな俺を妻は連れ回しまくった
背がかなり低くてすぐに人混みに紛れて見えなくなるのに、足早に人混みを抜けて連れ出した俺をほっぽりだして興味あるものに次々突撃していくから、俺は妻を追いかけるのに必死だった
俺がガンダム好きで子供の頃はガンダムやゾイドのプラモを作ってたと話したから、通りがかったプラモの店に連れて行かれて根掘り葉掘り聞かれた
俺はあんまり人に話すのは得意じゃなかったけどどんな話でも理解できないなりに面白がって聞いてくるから色んな話をした
それからもプラモの店がある度に買うわけでもないのに連れ込まれて色んな話をさせられた
お陰でガンダムもゾイドも見たことなにのに裏話や設定にやたら詳しい妻ができあがった
店の中では大人しいのに店を出てウインドウショッピングを再開すれば俺を置いて好き勝手歩いていくから手を繋いで歩くようになった
体が小さいからか人混みを人にぶつからずに縫うように綺麗に歩いていくから、手を繋いでいても追いかけるのは大変だった
でもそうして妻と歩いてると妻の目線がわかるようになって、妻が何を見てるのかも解ってきた
そしたら段々と妻が何に興味を引かれて何を見つけてどこに歩いていこうとしてるのかがわかるようになった
そうなると不思議と、俺も見ている景色が無意味なものから何か意味のあるものに見えてきて、ただの背景だったものが一つ一つ面白みのあるものに見えてきた
言い方を変えると灰色の世界が突然鮮やかに色づきだした感じだ
そうなると街中にあふれる情報の多さに圧倒されてかなり驚いた
あれは鬱で鈍った頭が急激に動き出したからなんじゃないかと思う、それくらいこの頃から鬱がなりを潜めて医者も驚くほど改善していった
前に書き込んだときは、結婚してからも妻が変わらず好き勝手出かけて、連れ回される俺の世界が広がる話を書き込んでたと思う

1039: 名無しさん@おーぷん 23/05/08(月) 23:47:37 ID:3T.im.L1
それから数年してコロナ禍の最中、オリンピックを楽しみにしていた冬、妻が突然高熱で倒れた
コロナではなかったもののコロナで病床数が足りないからと入院できず、解熱剤と抗生物質を渡されて自宅で様子を見るように言われた
解熱剤を飲んでも熱が38度後半あり、それが4日続いた
5日目、流石に仕事を休めず、妻も子供じゃないんだから救急車も呼べるし大丈夫と言ったので不安を抱えて会社へ
帰ってきたら部屋が真っ暗で呼びかけても妻の返事がなく、慌てて妻の部屋に行ったら布団もかけずにぐったりした妻がおり、呼吸はあっても意識が無かった
スマホを操作しようとした形跡があったが、スマホはベッドの下に落ちていた
すぐ救急車を呼んで入院になった
入院中は面会謝絶で一時外泊等も全面禁止だったから、退院するまでの半年妻とは一度も会えなかった
半年後に退院してきた妻は、創造より遥かに痩せて車椅子に乗っていた
どんな検査をしても原因はわからない、だけど足が動かなくなっていると言われた
筋力低下とかではなく神経がおかしくなっていた
そんなバカなと医者に食い下がったが、内科も脳神経内科も整形外科もどこで調べても原因がわからないと言われた
退院してからリハビリできるところを点々として、理学療法が可能な整骨院で「高熱が続くとこうなる人がいるけど病院で話はなかったのか」と言われた
妻も俺も病院からそんな話は聞いたことがなかった
その整骨院によると、腰から下の神経に異常が出ているが、神経が完全に死んでいるわけではないから再学習させれば動かせる希望があると言われた
藁にもすがる思いで再学習の方法を聞きながらリハビリをして、なんと一ヶ月ほどで座った状態から補助無しで立てるようになった
その二ヶ月後には歩行器がなくても杖で歩けるようになった
整骨院の人たちも妻の努力と成果に驚いていた
だけどそこまでの回復は劇的だったが、それ以上の回復は現状できていない
平坦な道は歩けても坂道や階段は歩けないし、歩ける時間も距離も限られている
それでも俺が妻と腕を組んで妻を支えて歩くと、歩きやすいのか行動できる範囲がぐっと増えた
引っ張り上げれば坂道や階段も移動できた
それでも移動できないときは俺がおぶって運べばいい
GW、久々に妻と遊びに出かけた
見知らぬ場所より休憩できるポイントがわかる見知った場所に妻をつれていった
電車では高齢のおじいさんが妻の杖とヘルプマークを見て快く席を譲ってくれてありがたかった、人の優しさの尊さを改めて知った
単なるウインドウショッピングだったが、妻と腕を組んで歩くと妻の心が弾んでるのがわかった
家にいるときでも落ち込んだ姿なんて見せたことなかったけど、こうして外に出て本来の妻が戻ってきたんだと感じた
妻にはやはりどこまでも歩いていける広い世界のほうが似合っている
昔妻が俺を連れ歩いてくれたお陰で今の俺は妻がどんなものに興味があるかがわかる
妻が足元を見ながらしか歩けなくても俺が代わりに妻の好きなものを見つけられる
昔は妻が俺を色んな場所に引っ張っていってくれたから、今度は俺が妻の好きな場所に引っ張っていく
妻の世界を広げられる
妻がまた自分の足でどこへでも歩けるようになるまで、俺が妻の足と目になって昔みたいにたくさん外の世界を楽しもうと思う

1040: 名無しさん@おーぷん 23/05/08(月) 23:53:00 ID:qu.27.L1
ふたりで長生きしてね

http://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1680187228/

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